ジャンボタニシの活用と農法

ひとりごと
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ジャンボタニシを水田に放ち、除草効果を期待した農法があります

ジャンボタニシとは「スクミリンゴガイ」という南アメリカ原産の淡水域に生息する巻き貝で、日本へは食用として持ち込まれてきました。
その足取りを少したどると、

  • 1981年 台湾から長崎県・和歌山県に持ち込まれる。
  • 1983年 35都道府県に養殖場が約500箇所建設された。逃げ出したジャンボタニシによる害虫被害が広まってゆく。
  • 1984年 養殖の廃業者が増え、廃棄されたジャンボタニシが増殖してゆく。有害動物に指定され、輸入が禁止になる。
  • 1989年 福岡県においてジャンボタニシの食性を利用した農法の研究がはじまる。
  • 2007年 愛知県の水田において食害が確認される。

このように廃棄された生体が水路等を介して生息域を広げ、稲作農家の悩みのタネとなっています。

ジャンボタニシの被害の内容

主に水田で栽培される「イネ」「レンコン」「イグサ」「ミズイモ」などの作物の、若くて柔らかい葉や茎を好んで食べており、育苗施設から圃場に移植した直後の若い苗が狙われる傾向にあります。
水中のエサを食べるため、水を深く入れている場所に被害が多く、逆に水の浅い場所は被害が少ないと言われています。
若い苗を水深の深い場所に植えてしまうと格好の餌食となってしまいます。

無農薬で防除する方法

天敵として、スッポン・コイ・カルガモを導入した駆除方法を実践している地域があります。しかしこれら生物は人間にとって食用・観賞用として価値の高いものであるため、盗難のリスクが伴います。
深い場所に好んで集まる性質があるので、圃場内に意図的に深い溝を掘り、そこに集めて一斉に捕獲する方法があります。その際、ジャンボタニシのエサとなるタケノコや青竹を設置すると効果的です。
米ぬか・ぬか床も格好のエサとなるため、ペットボトルに入れて誘引することもできるそう。
また、佐世保工業高等専門学校においては電気的に誘引する技術が研究されているほか、超音波を利用した駆除方法の研究も進められています。
卵は水中では孵化しないため、ピンク色の卵を見つけた場合は水中に捨てる方法があります。産卵から約2週間で孵化しますので、圃場の定期的な見回りが必要です。

ジャンボタニシを活用した除草方法

・深い場所を好む
・若く柔らかい葉を好む
・水中のエサを食べる
この3点の特性を逆手に取り、苗を植えてから2〜3週間は水をかなり浅め(0cm〜3cmほど)に管理することでジャンボタニシの侵入や移動・食害を阻害できます。
また、苗が活着し細胞壁が固くなると食害が抑えられるので水を10cmほど入れてゆきますが、草の先端になるほど柔らかく食べやすいため、もし食害を発見した場合は落水をして水深の調整をしてみると良いでしょう。
この方法で管理を継続することでジャンボタニシは雑草の芽を食べてくれるため、除草剤を使用せずに済みます。

ジャンボタニシ活用の注意点

「要注意外来生物」に指定されています。大量に繁殖し移動スピードが早いため、あっという間に生息域を広げてゆきます。
そのため、まだジャンボタニシが発生していない環境には、意図的に導入することは絶対にやめてください。
慣行栽培の農家ではジャンボタニシの駆除で大量に農薬を使用します。その農薬があなたの無農薬の圃場に流入してきたら元も子もありませんからね。
あなたの圃場が意図的による発生源として特定された場合は、損害賠償を請求される恐れもございますので、ご注意ください。

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