結論から言うと、ヘアリーベッチの被覆効果が得られるのは播種から45日ほどの期間が必要です。その成長過程を写真付きで紹介するので、グリーンマルチとして使用・栽培する際のご参考までに。
ヘアリーベッチの成長過程と必要日数のまとめ
被覆効果や緑肥効果については様々なサイトで紹介されていますが、実際にはどれぐらいの栽培期間で発芽・成長し、どれほどの被覆効果が得られるかは情報がまとめられていません。そりゃ当然です。ヘアリーベッチは収獲が期待できる作物ではなく、単なるモジャモジャした雑草ですからね。
僕の圃場ではこれまでチマチマと試験的に使ってきましたが、2016年11月から開始したカボチャの栽培から本格的に使うようになりました。
種子は1kg1000円ほどで販売されており、様々なメーカーに数品種あるので、ご自身に合った品種を選んでください。
僕の場合は特に品種を気にしていなかったので、種苗店に注文する際、一番早く入手できる品種をオマカセでお願いしました。
Amazon等のネット通販でも販売されていますが、時期によっては入手しづらいこともあるようなので、地元の種苗店で注文することをオススメしますよ。
(あと、地元の種苗店と仲良くなっておくと良いコトありますから)
ヘアリーベッチの播種量は一握りぶんを5歩でばら蒔き
トラクターで畝立てしたあとのゴツゴツした地表に種子をばら蒔きします。
メーカーの案内によると、播種の密度は10アール当たり3〜4kg。目安として1kg当たり250平米〜300平米と紹介されていますが、この説明ではあまりイメージが湧きません。
なので僕が実際におこなった播種方法は、右手に種子を一握り持ち、5歩進みながら種を振り落としてゆく方法で、すべての畝の表面に種子を落としてゆきました。
こげ茶色の丸い粒がヘアリーベッチの種子。歩きながら適当にばら蒔きしたので種子の密度が均一ではなく、気付かないうちに多めにばら蒔いてしまうこともあります。
種子を多めにばら蒔いて密集させることには問題無いのですが、密度が薄くなってしまうと、その部分が今後10円ハゲみたいになってしまうのでご注意ください。密度は少ないよりは多いほうが良いでしょう。
播種後は水を撒きます。もし水撒きできない場所では天気予報と相談し、雨の前日等に播種すると良いでしょう。
播種から4日ほどで発根
播種から4日、種子からニョロンと白い根が出てきました。
この畝にはカボチャの種子を直植えしているので、水撒きは毎日おこなっています。もし水撒きをせず雨水にのみ頼る場合は、さらに日数を要することが予想されます。
播種から6日ほどで発芽
播種から6日、発芽していることを確認しました。ヘアリーベッチの芽はコスモスの葉のような形状をしていて、それはまるで線香花火を逆さにしたよう。
中央にドンと生えている芽はカボチャ。横並びにするとカボチャの芽はまるでクジラをイメージするほど巨大で肉厚です。
播種から12日、発芽数がどんどん増えてきました。
このヘアリーベッチはカボチャ栽培のマルチ代わり、そして敷き藁の代わりとして働いてもらう予定なので、カボチャに負けず劣らず頑張って成長してほしいですね。
播種から1ヶ月では被覆効果はまだ不十分
播種から29日が経過した畝と、まだ何も植えていない畝とを比較してみましょう。
上図の左手がヘアリーベッチを蒔いている場所。そして右手がまだ何も植えていない畝。ベッチは順調に成長しているようですが、まだまだ土が露出しているので被覆効果は発揮できていません。
播種から45日で被覆効果を発揮する
播種から45日、畝を緑色に覆ったヘアリーベッチです。
カボチャとの混植はなかなかうまく進んでいる模様で、互いのツルを絡ませ合いながら強い北風に耐えています。
播種から51日目、茂みの深さを計測してみると約20cmほど。生育の悪いカボチャの株はヘアリーベッチに埋もれてしまいました。でもきっとカボチャ自身の力で這い上がってくるでしょうから、このまま様子見しましょうね。
そして茂みの浅い場所でも10cmほどの厚みがあり、他の雑草の成長を抑制してくれているようです。
まとめ
2016年11月22日にばら蒔きしたヘアリーベッチは、2017年01月06日頃になって畝の被覆効果(グランドカバー)が得られるようになりました。
費やした日数は45日で、その高さ(茂みの深さ)は10cmから20cmほど。背の低い株は埋め尽くされてしまうので、何らかの作物との混植を想定している場合は注意が必要です。
この結果は2016年11月下旬から2017年1月上旬にかけて沖縄県で得られたもので、この時季の平均気温は20℃ほど。地域や季節によってはまた違った結果が得られるでしょう。
ヘアリーベッチの害虫誘引・抑制効果
タイワンキドクガの幼虫が発生し、葉を食べています。しかし密集して大量発生するわけではなく、散見される程度。
混植しているカボチャにアブラムシが発生していますが、茂みの中にナナホシテントウが増えてきています。益虫の住処として期待できますね。
また、カボチャを播種して60日ほど経過した現在、ウリハムシは片手で数えるほどしか目撃しておらず、ウリハムシによる目立った葉の食害はありません。
葉の食害といえばカタツムリですが、若干の被害があるものの、ヘアリーベッチの密度の高い茂みがカタツムリの新たな進入を防ぐ壁になっているようで、被害は軽微なものです。
無農薬栽培と相性が良い
僕は無農薬で野菜を栽培していますが、ヘアリーベッチは益虫の住処となり、害虫が進入する障壁となり、雑草を抑制してくれます。そしてマメ科植物なので窒素を固定化し緑肥効果まで期待できるというスグレモノ。
しかし欠点もあるでしょうから、今後じっくりと時間をかけて付き合ってゆきたいと思います。
今後暖かい季節になると紫色の小さな花がたくさん着くので、その蜜を求めてミツバチが沢山発生するであろうと予想しています。養蜂箱を設置したいなあ…。